不定期企画
〜俵屋宗達「舞楽図屏風」の世界 其の一
3月30日(日)夕方6時より第32回 神明雅楽を下神明天祖神社の榧前(かやさき)の庭にて開催いたします。

江戸時代初期に活躍した京都の絵師、俵屋宗達(生没年不詳)の『舞楽図屏風』は、従前の一般的な舞楽屏風が、宗達独自の意匠における美意識によって仕立て直され、芸術作品としての永遠性が与えられた一大傑作です。
これからの神明雅楽では、不定期の企画として、数回にわたり、この『舞楽図屏風』に描かれた舞楽をご鑑賞いただき、屏風の魅力に迫ってゆきたいと存じます。
舞楽の紹介
左方 陵王
『舞楽図屏風』の持つ魅力を凝縮したかのような金色燦然たる装束、颯爽たる舞容、流麗な楽曲、精妙な楽章構成など、全てにおいて卓越した魅力を放つ傑作舞楽で、古今の人気演目です。
演奏回数も桁違いに多く、そのために舞楽作法におびただしい伝が生じ、由来に関しても様々な説がとなえられてきました。
由来に関しては、おおよそ三つの系統があるかと思われます。
当日お配りする鑑賞の手引きには三つの系統について詳しく解説しています。
一、「美貌の将軍」説
二、「日を招く伝承」説
三、「龍王の喜び」説
これら三つの説のどれが正しいのかは定かではありませんが、いずれにしても「陵王」が長い歴史を持ち、多くの文化的影響を受けて今日に伝わっていることは間違いありません。
当日は舞をご覧いただきながら、その奥深い歴史に思いを馳せていただければ幸いです。
右方 八仙
江戸時代の楽書『楽家録』(元禄三・1690)には、「崑崙山の仙人が帝徳に化し、来朝して舞う」と記され、「崑崙八仙」の別名があります。崑崙山は中国西域の伝説上の山で、不老を司る仙女・西王母が住むとされます。
この舞の特徴は、鶴を模した面と舞ぶりにあります。仙人が鶴に姿を変えた「仙鶴」とされ、八人で舞われ「鶴舞」とも呼ばれました。嘴の先の鈴は鶴の鳴き声を表現しています。
目を引くのは装束で、袍(上着)に刺繍された鯉の図柄とその上にかけられた網は舞楽装束の中でもこの曲でしか用いない特異なものです。
曲は破と急があり、見どころは急の場面で、四人の舞人が袖を取り合い、輪をつくって舞台を一周するシーンです。これは『舞楽図屏風』にも描かれる印象的な光景となっています。
古典芸能に親しんでいる方はもちろん、雅楽に初めて触れる方にも楽しんでいただける機会です。
入場無料・予約不要で、どなたでもご参加いただけます。
都会の喧騒を離れ、平安の雅が広がるひとときをぜひご堪能ください。
詳細情報
• 日時:令和7年3月30日(日) 午後6時開演(雨天時は社殿にて催行)
• 場所:下神明天祖神社 榧前(かやさき)の庭
(東京都品川区二葉1-3-24)
• 料金:観覧無料
雅楽道友会へのお問い合わせは電話:03-3783-2371またはメールフォームまでどうぞ