道友会について

雅楽道友会の沿革

雅楽道友会は昭和四十二年、元宮内庁楽部楽師 故・薗廣教を中心に有志が集い、民間への雅楽の普及および技術向上を目的とし発足しました。

会長となった薗は後進の育成こそが天命であると悟り、志ある者を内弟子として育て、民間で初めての雅楽を専門職とする集団を作り上げるとともに数多くの指導者を世に送り出しました。

現在も内弟子であった楽師を中心に、恩師の名「広く教える」を旨に、古典の伝承に励むことと会の名称である「雅の道の友」の集まりであり続けることを指針に、演奏活動や管楽器の製作をはじめ、会員育成はもとより、各地の雅楽団体への指導にも取り組んでいます。

本物の雅楽を伝える

雅楽道友会         楽長 福岡三朗

正統な楽と云われる雅楽は、皇室や神社仏閣という千年を超える歴史を紡いできた主の庇護のもと今日に至っています。神道の一番大切な行事である祭典では神社を挙げて御祭神を接遇しますが、丹精込めて収穫に至った海川山野の幸を厳選して神饌物として捧げ、善言美辞を尽くした祝詞を作文奉読し、そして奏楽、この三つの基本接待が整わなければ斎主以下の拝礼は許されません。大昔から神・仏・貴人へのおもてなしには言葉、御食、楽舞が不可欠であったが故に雅楽は護られてきました。

廣教先生が常々「本物の雅楽」と申されたのは、式に於いての楽は本物で無ければ単なる背景音楽であり、やがて録音に席を譲る事になるであろう、楽や舞が三本柱の一角を担うには奏楽に必要な技量だけで無く、互いが切磋琢磨し鍛錬を怠らない楽の師が集う会に育つ必要が有るとの意味であったと理解しています。即ち俊美先生の御言葉「以和為楽」と管舞絃歌鼓を極めた貴い息や手足のみから繰り出す芸、是を目指せということで、戦後の世に於いて其の伝承に不安を覚えて雅楽道友会を興したと述べられています。

楽を志す者は是を理解すれば自身への課題が見えてきます。道は同じ方向に進む人が多いほど太く長く安定しますので、本物の雅楽を目指す方は是非お越し下さい。また、神仏に仕える方々には祝詞や経典、神饌や五供と同じく、楽の善し悪しが吟味できねば良い法会や神事には至らないと言うことも師の教えとして申し伝えさせて頂きます。

薗麗子(雅楽道友会2代目会長)

昭和5年8月12日 秋田県雄勝郡にて浪華家の五女として出生。
昭和40年 元宮内庁式部職楽部楽師・薗廣教と結婚。
昭和42年 夫が興した道友雅楽会(現:雅楽道友会)の会計及び内弟子世話などを担う。
平成10年 夫の逝去に伴い雅楽道友会会長に就任し会の発展を主導する。
令和5年10月13日 神奈川県相模原市にて永眠。

薗 廣教(雅楽道友会初代会長、元宮内庁楽部楽師)略歴


1926昭和元年2月26日 楽家、薗 廣高の二男として東京大森町にて出生
1937昭和12年宮内省式部職楽部学生となる
1944昭和19年宮内省式部職楽部楽師となる
1945昭和20年宮内庁式部職楽部退官
1955昭和30年日本雅楽会創立に参画
1967昭和42年道友雅楽会創立、会長となる
1975昭和50年内弟子制度導入
雅楽指導者の育成を主旨として雅楽の普及に勤める
1979昭和54年雅楽道友会に改名
1998
平成10年6月2日 東京目黒にて永眠

雅楽道友会 年表

1967昭和42年薗 廣教「道友雅楽会」を発足
[発足時の主なメンバー]
薗 廣育、秋山孝行、西 初義、松丸正由、榎本 豊、山下孝教、瀧 實
1973昭和48年第一回 乃木神社「管絃祭」(観月祭)
1975昭和50年内弟子制度開始
1976昭和51年上 明彦 笛講師、池邊五郎 左舞講師に就任
1979昭和54年「雅楽道友会」に改名
1980昭和55年雅楽器製作本格的に始まる
1988昭和63年上 明彦 笛講師、池邊五郎 左舞講師を退任
1991平成3年東儀俊美 左舞講師に就任
1992平成4年薗 廣育 永眠(廣教長兄、元宮内庁式部楽部楽長、笙・右舞講師)
1998平成10年初代会長 薗 廣教 永眠
薗 麗子 雅楽道友会会長に就任
1999平成11年天理市民会館にて薗 廣教追悼公演
2000平成12年楽務所(しごとば)を目黒区三田より品川区二葉に移転
2002平成14年第一回 雅楽道友会研修発表「たけの音」
2008平成20年第一回 「雅楽道友会演奏会」 -薗 廣教記念公演-
東儀俊美 雅楽道友会顧問に就任
2010平成22年第二回 「雅楽道友会演奏会 」-東儀俊美半寿の楽舞-
品川区濱野健区長より地域貢献団体表彰
2011平成23年特定非営利活動法人(NPO法人)雅楽道友会として登記
顧問 東儀俊美 永眠、青山斎場にてNPO法人活動お別れの会
池邊五郎 左舞講師に就任
2012平成24年第一回 雅楽道友会「教養学習会」(東儀道子先生)
2014平成26年第二回 雅楽道友会「教養学習会」(上 明彦先生)
2015平成27年楽師会発足
福岡三朗 楽長に就任
2016平成28年一般社団法人神道文化会より表彰
池邊五郎 雅楽道友会顧問に就任
第三回 雅楽道友会「教養学習会」(薗 廣四郎先生)
2017平成29年第四十三回 乃木神社「管絃祭 」-雅楽道友会五十周年記念奉納舞楽-
発足五十周年記念事業として『比考・詳解右舞譜』を発行
2018平成30年下神明天祖神社境内の専用舞台「榧前の庭」(かやさきのにわ)にて第一回 「神明雅楽」
2019令和元年改元の日 靖國神社「令和奉祝雅楽」
即位礼正殿の儀の日 天皇陛下御即位奉祝 第四十五回乃木神社「管絃祭」
2020令和2年目黒川にて第一回「品川船楽」
2021令和3年勿来市民会館にて「雅道の友垣 in 福島」
2022令和4年楽務所(しごとば)を品川区二葉より品川区豊町に移転
名取市文化会館にて「雅道の友垣 in 宮城」

顧問

顧問 池邊五郎

元宮内庁式部職楽部首席楽長

池邊五郎 略歴

昭和25年生まれ。
12歳で宮内庁式部職楽部に入学し、昭和47年同楽部楽師となる。
昭和62年重要無形文化財保持者、平成26年首席楽長に就任。
平成28年退官。専職は篳篥、箏、左舞。

前顧問 東儀俊美

元宮内庁式部職楽部首席楽長

東儀俊美 経歴

昭和4年生まれ。
11歳で宮内庁式部職楽部に入学し、昭和24年同楽部楽師となる。
昭和56年重要無形文化財保持者、平成6年首席楽長に就任。御大葬、平成の御大礼、伊勢の遷宮などの奏楽、大嘗祭の悠紀風俗歌、風俗舞の作曲作舞、皇太子殿下の御歌による催馬樂「大空」の作曲などをおこなう。
平成8年退官。専職は篳篥、左舞、筝。
平成23年4月20日永眠。日本芸術院会員。従四位・旭日中綬章。

薗廣教と東儀俊美

2人は共に千数百年雅楽を伝承してきた四天王寺派楽家に生まれ、東儀俊美の祖母が薗廣教の父の姉にあたる関係であると共に、楽部楽生時代の先輩後輩でもある。
時は経ち、廣教が弟子の指導を俊美に願い出たところ、昔からの縁は勿論、弟子達の管・歌・舞・絃・打ち物の全てを学ぶ姿勢に共感し、それまで決して行わなかった民間への指導を引き受けた。廣教の亡き後は、雅楽道友会顧問として弟子達への指導を続けた。